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井の頭公園の生き物たち|第35回「プランクトン」

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『いのきちさん』過去記事紹介(『いのきちさん』35号 2017年71日発行 掲載)
―2011年11月から2017年11月にかけて刊行された、井の頭恩賜公園100周年カウントダウン新聞『いのきちさん』。ご愛読くださっていた方々の声にお応えし、掲載当時の記事をご紹介していきます―

注目すべき微小生物

澄み切っていた井の頭池の水が、今は緑色に濁っています。池の水の中には、肉眼では見えないほど小さな、いろいろな種類のプランクトンが暮らしています。上の写真はそのほんの一部です。

日光をエネルギーに、水中の二酸化炭素と窒素とリンなどを材料に光合成をして増える植物プランクトン(A~H)と、それらを食べて生きる動物プランクトン(I~L)とに大別されます。

植物プランクトンには珪藻(A・B)、緑藻(C・D)、藍藻(E・F)などのグループがあり、どの種類がどれだけいるかで、水の色や透明度が変わります。冬に優先するのは珪藻で、多いと水が茶色く見えます。日差しが強まり暖かくなると緑藻が増え、池は緑色になります。水に窒素とリンが多い富栄養化した池の場合、水温が上昇する6月初めごろ藍藻の増殖が始まり、池はやや青みがかった透明感のない緑色になります。それが大量に水面に浮いたのがアオコです。

かいぼりをすると水が澄むのは、底泥を大気と日光に晒すと水中に溶け出す窒素とリンが減るからです。しかし、井の頭の地下水には窒素が大量に含まれているため、リンが供給されれば効果は無くなります。大量の湧き水を復活させて、植物プランクトンが増える前に池から押し流してしまうのがいちばんです。

ミジンコなどの動物プランクトンは、植物プランクトンを食べて減らす一方で、小魚などの餌になります。下の写真は、七井橋の照明に集まる動物プランクトンを食べている小魚です。植物プランクトンも動物プランクトンも池の生態系を支えているのです。ほんの少し環境条件が違っただけでプランクトンの構成が大きく変わるのも興味深いことです。

例えば、Eは今年も増えている藍藻、Fは2015年に優先した藍藻です。プランクトンの様々な形を楽しむには顕微鏡が必要ですが、機会があればその世界を覗いてみることをお勧めします。池の水がそれまでとは違って見えるようになるでしょう。

 

田中利秋 井の頭かんさつ会
井の頭かんさつ会代表。毎月自然観察会を開催。池の外来魚問題にも取り組む。

 

本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。
(『いのきちさん』35号 2017年7月1日発行 掲載)

(プランクトン撮影:大原正子)

採食中の小魚

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