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私と 井の頭公園 その20 「『いきもの広場』は僕のやりたかったこと」 成島悦雄

私と井の頭公園 その20 成島悦雄さん私と井の頭公園 その20 成島悦雄さん
『いのきちさん』過去記事紹介(『いのきちさん』20号 2015年1月1日発行 掲載)
―2011年11月から2017年11月にかけて刊行された、井の頭恩賜公園100周年カウントダウン新聞『いのきちさん』。ご愛読くださっていた方々の声にお応えし、掲載当時の記事をご紹介していきます―

『いきもの広場』は僕のやりたかったこと

成島 悦雄 (中野区在住)

 

井の頭自然文化園の 成島悦雄 園長が、この3月で定年退職となり園を去る。優しいお人柄と、動物たちを見守る温かくも好奇心あるまなざしが印象深い人で、残念である。

 

生まれは栃木県なんですが、ものごころついた時は東中野で暮らしていました。まだ周りは畑ばっかりで、赤胴鈴之助や月光仮面の時代ですよ。

高校の頃に動物に興味を持ち始め、大学は獣医学科です。そこで動物行動学の権威である日高敏隆先生の授業を受けたんです、「生き物そのものの生き様がある」という視点ですね。「狼は狼同士の戦いに負けると、負けた方が首を差し出すんです。ところが勝った方は殺さない。なぜか。種を守るわけです」。こんな話を聞くと、がぜん面白くなって動物に興味を持った訳です。そんな野生の動物に会えるところはどこかなと、それは「動物園だ」(笑)、と思ったのですが、募集が少ないところなんですよ、でも運よく東京都に就職でき、最初の赴任は上野動物園でした。以来、多摩動物公園などいろいろ経験して、60歳の時に 井の頭自然文化園 に園長として着任したんです。

園長は大変ですね、苦情対応もしなくてはなりませんから、ここに来て腰が低くなりましたよ(笑)。5年間の思い出というと、70周年記念にめぐり合わせたことと、『いきもの広場』を作ったことですね。今の子供たち、特に都会の子はなかなか生き物と触れ合うことが少ないですよね、でも、人間は生き物を見つけたり捕まえたりすることが本能としてあるんですね、そういうことを子供のときに体験させたいのです。ヒトを含め、生き物たちの命がつながっていることをいつか分かってもらえればうれしいですよね、そのきっかけになる場所が出来たことが一番の思い出かな。実はこれ、自然文化園の本来のねらいなんですね、開園時につけられた「文化」は「教育」という意味があり、ここは自然の教育園なんです。僕のやりたかったことはこういうことなんだと改めて思いました。

(なるしま えつお  東京都井の頭自然文化園 園長)

 

聞き手・写真 川井信良
(70年代80年代に、三鷹でミニコミ『またんぴ』や『みたかきいたか』を発行。)

2014年11月に成島園長の著作『珍獣図鑑』(ハッピーオウル社1,800円+税)が発行され ました。 イラストは井の頭自然文化園のデザイナー北村直子さん。

 

※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。
(いのきちさん20号 2015年1月1日発行 掲載)


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