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アートマーケッツとヘブンアーティストな人々|その16「paper tripさん(切り絵作家)」

『いのきちさん』過去記事紹介(『いのきちさん』16号 2014年51日発行 掲載)
―2011年11月から2017年11月にかけて刊行された、井の頭恩賜公園100周年カウントダウン新聞『いのきちさん』。ご愛読くださっていた方々の声にお応えし、掲載当時の記事をご紹介していきます―

paper tripさん(切り絵作家)

黒の折紙から切り出されたpaper tripさんの切り絵は、繊細そのもの。ペン画と思って店先に近寄って来た人が一様に驚きます。

店番をしながら操るのは、先の尖った切り絵専用のはさみ。ちょきちょきと切るだけではなく、先で紙を突くように動かすと、小さな穴が開きます。1つの作品にかかる時間は、30分〜5時間ほど。「細かいですね。根気がありますね」とお客さんから声をかけられるたびに、「これはもう執念ですね」と笑って答えます。

蝶のような左右対称のモチーフなら折紙を二つ折りにして、そうではないものは下絵を写したトレーシングペーパーと重ねて切ります。もっとも緊張するのが、二重になった作品を開いていくとき。「絡まって手で切ってしまうのが一番悔しいですから」。手を清潔にし、さらさらに乾かしてから慎重に扱い、額装するまでは気が抜けないといいます。

著名な切り絵作家に憧れて、独学で勉強し始めて5年目。ハートやバラ、小鳥など、オリジナルデザインのモチーフに今日もはさみを入れています。

 

取材:小田原 澪(おだわら みお) 編集者・ライター。フィールドは多摩。三鷹市在住

 

※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。
(『いのきちさん』16号 2014年5月1日発行 掲載)

器用にはさみを操るpaper tripさん

レース糸を編んだような繊細な作品


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