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井の頭自然文化園の動物たちと飼育員|その3「タガメと渡辺良平さん」

「いのきちさん」過去記事紹介(いのきちさん22号 2015年5月1日発行 掲載)
2011年11月から2017年11月にかけて刊行された、井の頭恩賜公園100周年カウントダウン新聞『いのきちさん』。ご愛読くださっていた方々の声にお応えし、掲載当時の記事をご紹介していきます―

体長5~6cmと日本最大の水生昆虫。逆さになって水中の杭につかまり、じっと待ち構えます。目の前を魚が通るやいなやガシッと前足で捕らえ、針状の口から消化液を送り込み、溶けた肉をすすります。いかにも凶暴そうですが、飼育員の渡辺良平さんに言わせると、「クリッとした大きな目が魅力的。泳ぎがヘタ。体に藻がつかないように、自分でまめにメンテナンスするんです」と意外な面が続々。

「田んぼ」に住む「カメムシ」が名前の由来で、どこの田んぼにも、井の頭池にも生息していましたが、40~50年前に急速に姿を消しました。水路の多くがコンクリートで固められて流れが早くなったこと、エサであるカエルや魚が減ったことなどが原因と言われています。

意外な面は子育てにも。メスは産卵すると去り、オスはふ化までの2週間、卵が乾かないように水をかけたり、身をていして風から守ったりして、かいがいしく世話をします。

この冬は土のなかで冬越しさせました。「動き始める4月中ごろまでも、水に移したばかりのころも、無事を祈るばかりです。リスクはありますが、タガメに季節の変化を感じてもらいたい。繁殖にもいい影響が現れると期待しています」

 

取材:小田原 澪(おだわら みお) 編集者・ライター。フィールドは多摩。三鷹市在住

 

本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。
(いのきちさん22号 2015年5月1日発行 掲載)


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