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井の頭自然文化園の動物たちと飼育員|その10「タヌキと大西一馬さん」

「いのきちさん」過去記事紹介(いのきちさん30号 2016年9月1日発行 掲載)
―2011年11月から2017年11月にかけて刊行された、井の頭恩賜公園100周年カウントダウン新聞「いのきちさん」。ご愛読くださっていた方々の声にお応えし、掲載当時の記事をご紹介していきます―

学校で飼育を専門的に学び、卒業後に井の頭自然文化園に就職して、最初に担当した動物の一つがタヌキだという大西一馬さん。井の頭周辺でも野生の目撃情報が多いタヌキですが、文化園にいる3頭も、幼児期に杉並区で保護されたきょうだいで、7歳になりました。

「人工哺育されたので、人に慣れていそうなのに、そうでもないんです」と大西さん。ポン・ポコ・リンという愛らしい名前は、あくまで飼育上の個体把握のためにつけたもので、名前を呼んでも反応はありません。エサやりでも、「好きなものや食べる順番を知りたいので、食べているところを見てみたいんだけど、のぞくと食べるのを止めてしまう」という人見知りぶり。「飼育員だからといって仲良くはなれないんです」とつぶやきます。

絵本などにはお腹ぽっこりの福々しいイメージに描かれますが、実際には小型犬サイズ。冬こそ脂肪を蓄え、毛もふさふさしますが、「夏毛の間はスリムで、流線型のような体つきが見られます。顔立ちも意外としゅっとしてるんですよ」。

イヌ科には珍しく木登りする性質があるため、昨年、ウッドデッキを設置。ときおり登ってくつろぐようになり、ぐっと観察しやすくなりました。「身近で親しみのある動物だからこそ、本物の姿を知ってもらいたいですね」と大西さんは願っています。

 

取材:小田原 澪(おだわら みお) 編集者・ライター。フィールドは多摩。三鷹市在住

 

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(いのきちさん30号 2016年9月1日発行 掲載)


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