井の頭自然文化園の動物たちと飼育員|その12「ネズミと浅見準一さん」

2019.01.04

「いのきちさん」過去記事紹介(いのきちさん32号 2017年1月1日発行 掲載)
―2011年11月から2017年11月にかけて刊行された、井の頭恩賜公園100周年カウントダウン新聞「いのきちさん」。ご愛読くださっていた方々の声にお応えし、掲載当時の記事をご紹介していきます―

資料館の一角にネズミのコーナーがリニューアル。森林に生息する野ネズミのアカネズミやヒメネズミ、実はネズミの仲間ではないハリネズミなどが、種類ごとにガラス越しにのぞけるようになりました。

日本最小のネズミ、カヤネズミ(写真)は稲わらを丸めて巣を作り、昼間はその中で休みます。小屋は一見、稲がぼさぼさしているだけですが、「上からのぞくと、確かにいるんですよ」と飼育員の浅見準一さん。

ネズミの寿命は2~3年。繁殖も浅見さんの重要な仕事の一つです。バックヤードにはペアリング中のネズミのゲージや水槽がところ狭しと並び、ときおりカサカサ、カラカラと、動いたり水を飲んだりする音が聞こえてきます。今後展示予定のムササビの姿もありました。昨夏に生まれて早々に木から落ち、保護された1頭です。浅見さんの肩にしがみつき、ぶーぶーと軽く鳴いて甘えます。「けっこう爪が鋭いんですよ。腕が傷だらけです」と浅見さんは苦笑い。

昨年アジアゾウのはな子を看取るなど、浅見さんは長く都内各園で大型動物の飼育を担当してきました。「大量のうんちを運んで膝を痛めるような重労働はありませんけれど、ネズミは細かい作業が大変。何より逃がさないように、ふたをしっかり閉めてます!」

 

取材:小田原 澪(おだわら みお) 編集者・ライター。フィールドは多摩。三鷹市在住

 

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(いのきちさん32号 2017年1月1日発行 掲載)


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